目次
「コレステロールが高い」と言われた方へ
脂質異常症と動脈硬化を防ぐための健康ガイド
第1章:脂質異常症とは?
― 自覚のないまま進行する「サイレントキラー」
健康診断で「コレステロールが高い」と言われても、体調に問題を感じないことが多いかもしれません。しかし、それこそが脂質異常症の怖いところです。
脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪のバランスが崩れた状態のこと。症状がないまま進行し、やがて**動脈硬化(血管の老化)**を引き起こします。これが、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。
第2章:脂質異常症の診断基準とリスク
● 診断基準(空腹時採血)
脂質の種類 | 基準値 | 診断名 |
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LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
中性脂肪(トリグリセライド) | 150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 |
※いずれか1つでも該当すれば脂質異常症と診断されます。
● 動脈硬化の進み方
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悪玉(LDL)コレステロールが血管に沈着
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免疫細胞が集まり「プラーク」が形成
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血管が狭くなり、血栓ができて詰まる → 心筋梗塞・脳梗塞につながります
第3章:脂質異常症の原因とは?
● 主な原因は「生活習慣」
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食事:動物性脂肪、甘いもの、アルコール過多など
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運動不足:エネルギーを消費せず脂質が蓄積
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喫煙・ストレス:HDL低下、酸化ストレス増加
● 遺伝的体質「家族性高コレステロール血症(FH)」
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家族に若くして心疾患になった人がいる場合は要注意
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LDLが非常に高くなりやすい体質
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日本人の約300人に1人が該当
● 他の病気や薬の影響も
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甲状腺機能低下症・糖尿病・腎臓病・ピル・ステロイドなど
第4章:診断後にやるべきこと
● 健康診断結果の見方(脂質関連)
項目 | 役割と注意点 |
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総コレステロール | 参考値、内訳(LDL・HDL)が重要 |
LDL(悪玉) | 高すぎると動脈硬化の主因 |
HDL(善玉) | 低すぎるとリスク |
中性脂肪 | 多すぎると間接的に動脈硬化を促進 |
non-HDLコレステロール | 悪玉全体の総和で、最近注目される指標 |
● 動脈硬化リスクチェック ✅
以下の項目に該当するほどリスクが上昇します:
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年齢:男性45歳以上/女性55歳以上
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高血圧/糖尿病/喫煙
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家族に早発の心筋梗塞
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肥満(BMI>25)/HDL低値
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慢性腎臓病(CKD)
● 医師に相談すべき理由
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総合的なリスク評価が必要
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二次的原因の除外(甲状腺や腎臓の病気など)
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適切な治療方針の判断(生活改善か薬か)
第5章:治療の基本は生活習慣の改善!
● 食事療法の基本
増やすべき食品 | 減らしたい食品 |
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青魚(DHA・EPA) | 肉の脂・加工肉 |
大豆製品・海藻・きのこ | バター・ラードなど動物性脂肪 |
玄米・麦ごはんなど未精製穀物 | 白米・パン・うどんなど精製炭水化物 |
オリーブ油・ナッツ類 | トランス脂肪酸(マーガリン、菓子パン等) |
● 運動療法のすすめ
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有酸素運動:ウォーキング・自転車・水泳など
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強度の目安:「ややきつい」程度を毎日30分以上
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分割もOK:10分×3回などでも効果あり
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座ったままできる運動も:かかと上げ、もも上げなど
第6章:必要なら薬の力も借りましょう
● 薬を始める基準は「総合リスク」
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LDL高値でも、低リスクならまずは生活習慣改善から
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高リスク(FH、既往歴、極端な数値)は早期に薬物療法を開始
● 主な治療薬は「スタチン」
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肝臓でのコレステロール合成を抑え、LDLを減らす
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血管の炎症を抑え、プラークの安定化にも効果あり
● 副作用の対処
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筋肉痛・肝機能の変化などがまれに出現
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自己判断で中止せず、医師に相談を
● 一生飲み続けるのか?
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原因が生活習慣なら、中止も可能なケースあり
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FHや既往歴がある場合は長期服用が必要
おわりに:健康な未来のために、今できること
脂質異常症は、静かに進行する病気ですが、正しく知り、早めに行動すれば十分にコントロール可能です。
健康診断の数値をチャンスととらえ、未来の自分を守る一歩を踏み出しましょう。
たつの市、太子町、姫路市、相生市、赤穂市の方で、高コレステロール血症、高脂血症、脂質異常症について気になっている際は、📞 ご相談・ご予約は当クリニックまで、お気軽にお問い合わせください。
あなたに合った最適な対策を、一緒に考えましょう。