目次
ピロリ菌について
ピロリ菌とは
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、強い酸性環境である胃の中でも生息できる特殊な細菌です。主に5歳頃までの幼少期に、飲食物などを介して感染するとされており、衛生環境が十分でなかった時代に育った中高年の方では、感染率が高いことが知られています。
ピロリ菌が胃に住みつく仕組み
ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を分泌し、胃酸を中和することで胃粘膜に長期間生息することができます。一度感染すると、除菌治療を行わない限り、自然に体内から消失することはほとんどありません。
ピロリ菌によって引き起こされる病気
ピロリ菌感染が持続すると、以下のような疾患のリスクが高まります。
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慢性胃炎(萎縮性胃炎)
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胃・十二指腸潰瘍
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胃がん
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胃MALTリンパ腫
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
特に慢性胃炎が長期に続くと胃粘膜が傷み、胃がんのリスクが高くなります。日本人の胃がんの約90%がピロリ菌感染に関連していると報告されており、早期の検査と対策が重要です。
ピロリ菌の検査について
検査方法は、「胃カメラを使用する方法」と「使用しない方法」の2種類があります。
胃カメラを使用する検査
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迅速ウレアーゼ試験:採取した胃粘膜を試薬と反応させ、色の変化で菌の有無を判定。
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培養法:粘膜を培養し、ピロリ菌が発育するかを確認。
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鏡検法:染色した組織を顕微鏡で観察し、菌を直接確認。
胃カメラを使用しない検査
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血液・尿による抗体検査
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便中抗原検査
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尿素呼気試験(最も精度が高く、除菌判定にも使用されます)
保険適用について
胃カメラで慢性胃炎や胃潰瘍などの診断を受けた場合、ピロリ菌検査・治療は健康保険の適用となります。まずは胃カメラによる診断を行い、医師と相談のうえで適切な対応を進めていきます。
ピロリ菌の除菌治療とその流れ
1. 感染の確認
胃カメラや呼気検査などでピロリ菌の感染を確認します。
2. 一次除菌治療(7日間)
2種類の抗生物質と1種類の胃酸抑制薬を併用して、7日間内服します。
この治療で約80~90%の方が除菌に成功します。
3. 除菌判定
治療終了から4~6週間後に再検査(主に尿素呼気試験)を行い、除菌の成否を確認します。
4. 二次除菌治療(必要に応じて)
一次除菌で効果がなかった場合は、薬剤を変更し、再度7日間の治療を行います。
除菌後のフォローアップについて
ピロリ菌を除菌することで、胃潰瘍の再発予防や胃がんのリスクを大きく減らすことができます。ただし、すでに胃粘膜が傷んでいる場合には、除菌後も定期的な胃カメラ検査による経過観察が必要です。
早めの検査をおすすめする方
以下に該当する方は、一度ピロリ菌検査を受けることをおすすめします。
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30歳以上の方
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家族に胃がんの方がいる方
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胃の痛み、胃もたれ、吐き気などが続いている方
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過去に胃・十二指腸潰瘍を経験したことがある方
ピロリ菌感染は初期に自覚症状がほとんどなく、気づかないまま長期間持続するケースが多いため、気になる症状がある場合は早めの検査が大切です。
まとめ
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ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんの原因となる細菌です。
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一度感染すると自然に消失することは少なく、除菌治療が必要です。
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早期発見・早期除菌により、胃がんなどのリスクを大きく減らせます。
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除菌後も定期的な内視鏡検査でのフォローアップが重要です。
当クリニックでは、ピロリ菌の検査から除菌治療、その後のフォローアップまで一貫して対応しております。胃の不調やご不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。