帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みが出現し、その後赤い斑点や小さな水ぶくれが帯状に現れるウイルス性の疾患です。この病気は、水ぼうそうにかかった経験のある人にのみ発症し、水ぼうそうウイルスが神経節に潜伏し、免疫力の低下などをきっかけに再活性化することで発症します。
帯状疱疹の特徴と合併症
-
発症年齢のピークは60歳代で、50~70歳代に多くみられます。若年層でも過労やストレスにより発症することがあります。
-
主な合併症:特に注意すべきは「帯状疱疹後神経痛(PHN)」で、発疹や水疱が治まった後も長期間痛みが残ることがあります。痛みの種類はさまざまで、「焼けるような痛み」「締め付けられるような痛み」「触れるだけで痛むアロディニア」などが混在し、日常生活や睡眠に支障をきたすこともあります。
-
50歳以上の方はPHNへ移行しやすく、加齢とともにそのリスクも高まります。
帯状疱疹の予防方法
現在、日本で使用できる帯状疱疹ワクチンは2種類あります。
-
乾燥弱毒生水痘ワクチン(生ワクチン)
-
シングリックス筋注用(不活化ワクチン)
どちらも50歳以上の方が対象で、過去に帯状疱疹を発症された方でも、再発予防として接種可能です。
ワクチンの比較
項目 | 乾燥弱毒生水痘ワクチン(生ワクチン) | シングリックス(不活化ワクチン) |
---|---|---|
対象年齢 | 50歳以上(免疫抑制状態の方は不可) | 50歳以上(接種可) |
接種方法 | 皮下注射 1回 | 筋肉注射 2回(2か月間隔) |
予防効果 | 発症予防 :約50~60% 神経痛予防:約66% |
発症予防 :約90%以上 神経痛予防:50歳以上 約100% 70歳以上 約86% |
効果持続 | 約5年 | 約9~10年以上 |
副反応 | 少ない | 注射部位の痛み、筋肉痛などがやや強い |
費用(税込) | ¥8,000(助成なし) ¥4,000(たつの市 助成あり) |
¥22,000 ×2回(助成なし) ¥12,000 ×2回(たつの市 助成あり) |
※生ワクチンは他の生ワクチンとの接種間隔に注意が必要です(27日以上空ける必要あり)。
接種をご検討中の方へ
-
2回接種のシングリックスは、高い予防効果と長期的な効果が期待できますが、費用が高く副反応もやや強めです。
-
一方、水痘ワクチンは、費用や副反応が少ない反面、効果の持続期間や予防効果はやや劣ります。
-
ご希望や健康状態、費用などを考慮し、医師と相談のうえで適切なワクチンをお選びください。
ワクチンの予約について
当院では、2種類の帯状疱疹ワクチンをお取り寄せ可能です。
接種をご希望の方は、事前にお電話でご予約ください。
発症率と予防効果に関するデータ出典
-
国立感染症研究所: 帯状疱疹ワクチン ファクトシート(2017年2月10日)
-
Shiraki K, Toyama N, et al: Open Forum Infect Dis. 4(1), ofx007, 2017